2012年12月3日月曜日

カール・クック

映画「パニック・イン・スタジアム」に登場。

10万人の観衆が集うスタジアムを、恐怖の渦に巻き込んだライフル乱射魔。
麗らかな日曜日の朝のロサンゼルス。高層ホテルから放たれた一発の弾丸により
自転車に乗っていた市民が射殺された。撃った男はライフルを分解して、
ジャケットの各所にあるポケットの中へと仕舞い込んでいく。
車に乗り込んだ男の行き先はメモリアル・コロシアム。アメリカンフットボールの
プロ・チーム同士の優勝決定戦、ロサンゼルス・ラムズ対ボルチモア・コルツの
スーパーボウルにより競技場は満員だった。街中が賑わう中、男は観客と共に競技場に入ると
立ち入り禁止の扉を壊した。番犬がやってくるが肉を与えて、おとなしくさせる。
そして五輪マークが飾られた入場ゲートの真上へ登り、ライフルを組み立てる。
会場スタッフが目を留め、男を連れ出そうとするが、ゲートから突き落とされてしまう。
男のいる位置はスコアボードの裏側なため、観客の誰も気に留める者はいなかった。
しかしスーパーボウルは全米放送のため、多くのTVカメラが配置されており、
その内一つがライフルを持った男の姿を捉える。ロス市警に急報が入り、
責任者であるホリー警部は観戦にきた大統領の車を緊急停止させ、さらにSWATの出動を命じた。
試合が始まってからボルチモア優勢に観客が湧く中、SWAT隊長バトンは隊員を照明塔の上に登らせ、
男を狙撃するように命じた。しかし警察に知られたことを知った男は行動を起こす。
凶弾がSWATの狙撃手を、観客を撃ち抜いていく。あまりのことにパニックに陥った観客たちは
ロスの猛攻に目もくれず、競技場から逃げ出そうとする。男も乱射し続ける。
ホリー警部はここで強行突破を敢行。男のいる入場ゲートに向かい、バトンと共に
男を追いつめる。自棄を起こした男の一発がバトンに軽傷を負わせる。
そして男は梯子で逃げ場のない頂上で、登ってくる者を即座に撃てる体勢を取る。
ホリー警部は催涙ガスをまいて、男の出方を窺う。男がしびれを切らして闇雲に撃ったところを
警部の放った数発の弾丸が男を捉えた。墜落し、地面に叩きつけられた男に
警部は容赦なく、名前を聞き出そうとする。自分の名前を告げると、息絶える男。
こうしてライフル乱射事件は幕を閉じた・・・・

チャールトン・ヘストン主演映画「パニック・イン・スタジアム」。
タイトルにもあるようにジャンルはパニック映画だが、公開当時のパニック映画というと
ポセイドン・アドベンチャー」や「タワーリング・インフェルノ」の災害をテーマにしたモノが目立ち、
一方本作は謎の悪人一人によって起こされる事件がテーマ。
恐ろしさを比べると、明らかに災害の方が恐ろしい上に、大勢の人が事件に巻き込まれたことを想像し易い。
しかしそこは映画ならでは。この狂気のスナイパーは一切の動機や素性がわからない。
スナイパーの描写が希薄なことにより、まるで自然が巻き起こす災害のように
なるべくして起こった風に観客に思わせることに成功している。
災害が起きた原因に関して、観客が興味を持つことはない。
何故なら、観客が見たいのは災害が起きた時に巻き込まれた人間の姿に注目するからだ。
これにより一転して超自然的な存在と化したスナイパーの姿は、前半は腕や後姿、
主観描写のみであり、後半はライフルから覗く目だけで、より観客を煽る。
ラスト近くになって初めて全貌がわかるが、絶命間近でヘストン演じる警部に問い詰められ、
途切れ途切れに自分の名を名乗って死ぬ。
で、この映画の一番良いところは犯人の動機が不明なことにより、
あえて観終わった観客を消化不良気味にすることで、考える余地を残させ、
記憶に残る映画にしたこと。記憶に残る映画作りって難しいもんです。

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